八戸のコワーキングカフェ「estacion(エスタシオン)」(八戸市番町)が営業を再開し、1月16日で1カ月がたった。
同店は2022年4月、コミュニティー放送局BeFMの新事業としてオープン。昨年6月、放送局長を務めた塚原隆市さんが亡くなったことを受け、運営体制の見直しのために9月から休業していた。12月16日、起業支援などを担うポイントファイブ(東京都品川区)が運営を引き継ぎ、再開にこぎつけた。
店名の「エスタシオン」はスペイン語で「駅」の意。塚原さんが設立に関わり、八戸商工会議所(堀端町2)TMO推進室(当時)が2006(平成18)年10月~翌12月に運営した同名の交流施設にちなむ。同施設は、2011(平成23)年に開館した八戸ポータルミュージアムはっち(三日町)の「前身」として、クラブイベントやチャレンジショップの実施、ラジオ番組の生放送などを通し、中心街の活性化を目指していた。「2代目エスタシオン」となる同店は、2021年11月の八戸市美術館(番町)の開館に合わせ、中心街を訪れる市民や観光客が集うカフェ、仕事や勉強に使えるコワーキングスペースや会議室、地域情報を発信するコミュニティー放送局を組み合わせ、地域情報と人が集まる拠点を目指していた。カフェとコワーキングスペースを合わせた席数は約50席。店舗面積は約62坪。
塚原さんは生前、行政や商工団体が中心街の振興に取り組む中、若い人や市民に気軽に「まちづくり」に関わってもらおうと尽力。2023年1月に出演した同局の特別番組「新春に語る」で「中心街は観光客や八戸圏域の皆さんが集まる場所。中心街を『家』に例えると、八戸駅は玄関、ホテルは寝室、はっちやマチニワなどはリビング、立ち並ぶ飲食店は台所。(ホテルを)チェックアウトしたら八戸市美術館を見て、エスタシオンで少し仕事をして帰ることを勧める。この『家』を皆さんで守らなければならない。大学生をはじめいろいろな人と、どうすれば中心街が盛り上がるのかを考えていきたい」と話していた。
ポイントファイブの野田賀一社長は東北町(旧上北町)出身。今後は東京と八戸を拠点に起業支援に取り組む。八戸市の起業支援事業「8サポ」のコーディネーターとして活動する傍ら、同店の機能を生かし、副業に取り組む人や起業に踏み切れずに迷っている人などの「0.5歩のチャレンジ」を後押ししていくという。
野田社長は「塚原さんとの数少ないやり取りの中で『人を知りなさい』という言葉が印象に残っている。盛り上がりを見せるエリアをひもとくと、コワーキングスペースがきっかけになっている事例もある。『あそこに行くと誰かに会える』と思ってもらえるような、街のリビングのような存在にしたい」と話す。「青森県は自分の人間性や価値観を形成した場所。学生時代、八戸はおしゃれして出かける場所だった。新参者だが、八戸の皆さんに仲良くしてもらえたら」とも。
営業時間は9時~18時(ドリンクやフード類の提供は10時~17時)。日曜・祝日定休。