古民家を活用したゲストハウス・コワーキングスペース「さざなみ」(階上町道仏)が9月、階上駅前地区にオープンする。
同地区の交流施設「わたしの素(ス)ペース」(わたスぺ)の姉妹施設。わたスぺを運営する上野莉歩さんが階上駅から徒歩圏内の住宅街にある古民家を改装してオープンさせる。広さ16畳分の会員制コワーキングスペース、8畳分のアートギャラリーのほか、1~4人で宿泊できる客室2室を用意する。玄関の近くには10畳分の共用スペースを設け、利用者同士の交流を促す。
「わたスぺ」は2024年10月20日、廃業したみその醸造所をリノベーションして開業し、間もなく2周年を迎える。常設するキッチンカーでは、毎月レシピを変えて調理するカレーライスや、コーヒー、ジンジャーエールなどを提供。約20席を用意する共用スペースでは、映画上映会やワークショップ、定期的な音楽ライブなども行う。上野さんによると、地域住民と打ち解けて談笑する利用客や、みちのく潮風トレイルでのトレッキングの休憩に訪れる海外客の姿が見られることが多いという。上野さんは「昼に階上を訪れた人が八戸で宿泊し、新幹線で帰っていくという流れが見えてきた」と振り返る。
「さざなみ」の一部の部屋からは遠くに太平洋が見えるといい、上野さんは「階上の朝の海辺の静けさを皆さんにも感じてもらいたい」と話す。宿泊客にはより長い時間同地区に滞在してもらい、地域住民の暮らしぶりや時間によって表情を変える風景の移ろいを感じてもらう。アーティストが中長期的に滞在して作品を制作する「アーティスト・イン・レジデンス」として使うことも想定する。開業日は決まっていないが、9月中旬には宿泊を希望する知人がいるといい、上野さんは夫でシンガー・ソングライターの渡ケントさんや、地域の住民、高校生の協力を得て急ピッチで開業準備を進める。
太平洋が見える線路沿いに位置する同地区はかつて、呉服店、菓子店、米穀店、南部せんべい店、生鮮食品店、バーなどが軒を連ねたが、現在はほとんどが廃業した。上野さんは「わたスぺ」の開業以降、階上駅駐車場で開くイベント「かぜ・まち・ひとマルシェ」や地域メディア「かぜ・まち・ひと だより」の立ち上げに関わり、同地区に新たな人の流れを作ろうと模索を続けている。
「この地域の皆さんは商いで生計を立ててきたせいか、カラッとした人柄の人が多い。皆さん、わたスぺを応援してくれている」と上野さん。「『余白』の時間を過ごし、階上を好きになってもらえたら。宿泊施設ができることで、より遠くから訪れる人にも階上の良さに気付いてもらえると思う。私はその案内人になって、将来的には地域の空き店舗を活用して商いを始める人の手伝いができたら」と話す。