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八戸「南郷ひなた農園」がワイン「ピアソルテ」発売 ワイナリー設立目指す

南郷ひなた農園を運営する澤井勝吉さん・さい子さん夫婦

南郷ひなた農園を運営する澤井勝吉さん・さい子さん夫婦

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 ワイン用ブドウを生産する「南郷ひなた農園」(八戸市南郷大森)が6月2日、自家栽培のブドウを使ったワインブランド「ピアソルテ」を立ち上げ、4種類のワインを発売した。

南郷ひなた農園が発売したワイン「ピアソルテ」

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 澤井勝吉さん・さい子さん夫婦が営む同園は2016(平成28)年、ブドウの栽培に着手。ワインの発売は昨年に続き2回目。今回発売した「ピアソルテ」は、「エーデルワイン」(岩手県花巻市)、「WANO Winery(ワノ・ワイナリー)」(青森県鶴田町)に醸造を委託した。

 ピアソルテは赤ワイン2種類、白ワイン2種類。赤ワインの「ツヴァイゲルトレーベ」は「カシスやブラックベリーを思わせる香り・渋み」、「メルロー・ピノノワール」は「ベリー系の香りと果実味のある穏やかな酸味」が特徴。白ワインの「シャルドネリースリング」は「ミカンやリンゴを思わせる香り」、「シャルドネ」は「かんきつ系の爽やかな香りと酸味」が特徴としている。

 勝吉さんは「ワインを南郷の新たな魅力にして、人が集まる場所を作りたい」と話す。今後は「八戸産ブドウを85%以上使用」「市内で醸造」などの「八戸ワイン」の条件を満たすため、直営のワイナリー設立を目指す。収穫体験、キャンプ場なども検討しているという。

 澤井さん一家は1890(明治23)年から八戸市南郷大森に園地を置き、昭和初期からは旧南郷村が進めた葉タバコを栽培していた。勝吉さんで5代目。勝吉さんは約40年前に起業した「南郷断熱」(南郷大森)の事業と並行して葉タバコ栽培を続けてきたが、2012(平成24)年、前年に起きた東日本大震災やたばこの需要減少などの影響を受け廃作していた。

 「たばこをやめても先祖が守ってきた畑は手放さなかった」とさい子さん。草が生えるだけになっていた園地の活用について考えていたところ、八戸市が「八戸ワイン産業創出プロジェクト」に取り組むことを聞きつけた。2016(平成28)年、500本のワイン用ブドウの苗の提供を受け、試験栽培に着手。八甲田連峰から吹く冷たい風、夏の高温と湿気、台風、冬の結露などと向き合いながら試行錯誤を続けたが、「苗木のほとんどを枯らせてしまった」という。

 現在は自身で用意した苗木を育て、栽培を続ける。2021年には「南郷ひなた農園」を設立。昨年は約4000本の苗木から約2590キロのブドウを収穫。このうち約2190キロでワインを委託醸造し「ピアソルテ」の立ち上げに至った。

 澤井家では代々、近くには名久井岳、遠くには八甲田連峰を望む日当たりの良い園地を「ひなた」と呼んできたという。ピアソルテの名にはイタリア語で「運命」を意味する「ソルテ」を含めた。ラベルのデザインには八甲田連峰、名久井岳、階上岳など、園地から見える風景をあしらう。勝吉さんは「南郷の風景を思い浮かべながら飲んでほしい」と呼びかける。

 価格は3,300円~3,850円。内容量は750ミリリットル。ヤマザキストア(南郷市野沢)、木津商店(一番町)、みやしげ酒舗(廿六日町)、ヴァンタス(長横町)、セプドール・アン各店のほか、同園直売所で扱う。直売所の営業時間は10時~15時。営業は金曜・土曜・日曜のみ。

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