青森県新郷村の初夏の風物詩「キリスト祭」が6月7日、キリストの里公園(新郷村戸来)で開かれ、海外メディアを含め国内外から約1000人が詰めかけた。
新郷村に伝わる奇祭「キリスト祭」は今年で62回目を迎える。ゴルゴダの丘で処刑されたはずのイエス・キリストが生き延びて新郷に入り、106歳で生涯を閉じたと伝わるが、真偽は定かではない。
イエスと弟の「イスキリ」の墓とされる「十来塚」の近くでは神道式の慰霊祭が開かれ、多くの市民や観光客が見守った。佐藤和友新郷村長が祭壇に玉串を捧げた後、新郷に伝わる田中獅子舞が奉納舞を披露。揃いの浴衣姿の村民が十来塚にある2つの十字架を囲み、旧南部領を中心に伝わる盆踊り「ナニャドヤラ」を披露してキリストを慰霊した。
クライマックスには「キリストの里伝承館」前の広場で「ナニャドヤラ」体験会が行われた。来場者が2重、3重の輪を作り、何度も繰り返される「なにゃどやら、なにゃどなされの、なにゃどやら」の声に合わせて踊り、会場は冷え込みを吹き飛ばすような熱気に包まれた。関係者によれば、新郷では「なにゃどやら」はヘブライ語の「汝(なんじ)の聖名をたたえん」の意味があると伝わるという。
同園向かいの土産店「キリストップ」(同)では、「シン・キリストラーメン決定戦」と銘打ったラーメンコンテストも行った。「新郷村を救う真のメシヤは誰だ」をテーマに4店舗が参加し、1杯500円で提供。来場者の投票でチャンピオンに輝いたのは昨年2位だったラーメン店「毘沙門天」(十和田市三本木)。昨年チャンピオンの「えびす屋」(新郷村戸来)を抑えた。同店のラーメンは背脂が混ざった塩ベースのスープで、具材には新郷産のニンニクやネギを使い、トッピングには十字架を模したはんぺんをあしらった。毘沙門天のラーメンは今後、村内のイベントで提供する予定。
「30年前に取材で訪れて、じゃわめいだ(南部弁で「心ときめいた」の意)」と話すのは、毎年来場しているというタレントの十日市秀悦さん。私的に訪れていたが、体験会では司会を買って出て、来場者に「ナニャドヤラ」の踊りへの参加を促したり、スペイン、ブラジルなどから来場した人にインタビューしたりした。「今年も世界各国から観光客が来ている。踊りの輪も数年で一番大きい」と話す。
佐藤村長は「(キリストに関する伝承は)真実か否かではなく、現実で私たちが守っていくもの。新郷は歴史とロマン、ミステリーの村。非日常を経験したい人はぜひ訪れてほしい」と呼びかける。