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八戸出身のお笑い芸人・九月さんが初のエッセー集「走る道化、浮かぶ日常」

自身初のエッセー集「走る道化、浮かぶ日常」を発売した九月さん(写真提供=祥伝社)

自身初のエッセー集「走る道化、浮かぶ日常」を発売した九月さん(写真提供=祥伝社)

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 八戸出身のお笑い芸人・九月(くがつ)さんの初のエッセー集「走る道化、浮かぶ日常」が8月2日、祥伝社から発売され、地元・八戸の書店ではサイン本を並べるなど盛り上がりを見せている。

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 伊吉書院八戸類家店(八戸市南類家1)ではサイン本の販売を実施。九月さんの知人からも予約があったという。発売から約2週間、同店担当者は「(サインのない本も)ほかのお笑い芸人のエッセー本より売れ行きが良い」「サイン本は店頭に並べるとすぐに売り切れる」と話す。

 青森県立八戸高校から京都大学に進み、同大学院卒業後、現在は関東を中心にピン芸人として活動する九月さん。「はじめは皿の上に(八戸の)イカが載っていたのに、(京都の)八ツ橋が載り、今は東京ばな奈も載っている」と自身の歩みを振り返る。2016(平成28)年、同大学院在学中にお笑いコンビを結成し、関西を中心に活動。2019年に「九月」としての活動を始め、3日間寝ずにライブを披露し続ける「72時間軟禁ライブ」を企画するなど、独自の活動を展開。「最も辛いのは30時間あたり。それを越えたあたりから急に全てが楽しくなる」と言い、「ストイック」な活動を続ける。コロナ禍で書き始めたnote、X(旧ツイッター)等の投稿が同社の目に留まり、エッセー集発売に至った。

 「急に納得できたり、急に分からなくなったりと、往復できるように書いた」と九月さん。どこからでも読めるように構成した。「『甘め』とうたわれたカレーが想像以上に辛かった経験は、きっと誰にでもある」「『駅まで徒歩5分』の物件は駅まで10分」「『どこからでも切れます』と書かれたマヨネーズの袋は絶対に切れない」など、序章から九月さんの日常を切り取った言葉が並ぶ。

 本編には、「自分らしさ」「人からどう見られているか」「意味のないことは面白い」などをテーマに、18編の書き下ろしのエピソードを掲載。このうち「俺、酸素ボンベ要らへんねん」のエピソードでは、フルタイムの正社員として働く傍らファストフード店のアルバイトを15年続けているにもかかわらず「ファストフード店に縛られたくない」と主張する「意味のないことをする友達」の存在に触れ、現代人の生活について、「あちこちで意味が求められている」「地上に居るのに窒息しそう」「別に意味がなくたっていい」などとつづる。

 「日常のもやもやする気持ちをうまく言語化している」と編集を担当した佐藤桃子さん。「(九月さんの言葉が)本になれば、ほんの少しでも生きやすく、今まではたどり着けなかったものの見方ができるようになると思った」と「ラブコール」を送った背景を話す。「九月さんがより大きな舞台に駆け上がっていく姿は、今しか見られない」とも話し「今後活動を広げる中で、名刺のような一冊になってほしい」と力を込める。「今なら『古参ファン』を名乗るチャンス」とも。

 「旧友とお茶を飲んでいるような感覚で楽しんでもらえれば」と九月さん。「本を出したことは転機。これを糸口に活動を広げていきたい」と話す。

 価格は1,760円。

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