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八戸三社大祭が4年ぶりに通常開催 「祭りは市民のよりどころ」

内丸親睦会が制作した山車「法霊大明神」

内丸親睦会が制作した山車「法霊大明神」

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 青森県の夏を彩る南部地方最大の祭り「八戸三社大祭」が7月31日~8月4日、4年ぶりに通常開催され、城下町・八戸は祭りを待ちわびた103万6000人の入り込みでにぎわった。

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 4年ぶりに前夜祭が行われた7月31日18時、八戸市中心街・八戸市庁前市民広場に「南部衆」が奏でるはやしと27台の山車の姿が戻った。「待ちに待った日がやってきた。感無量」と吉田産業グループ山車組の佐々木昌代さん。長年参加してきた祭り。コロナ後に生まれた息子・夫と3人で迎える初めての祭りの開幕を、山車の前で笛を奏でながらかみしめた。

 八戸藩南部家16代当主の南部光隆さんは、神事「お通り」の運行が行われる8月1日に合わせ、埼玉県から「お国入り」し、コミュニティー放送局「BeFM(ビーエフエム)」の生中継番組に出演。「仕事や子育てをしながら伝統を守り続ける人を尊敬している。八戸が久しぶりの通常開催とともに勢いを取り戻し、今後も盛大に開かれることを期待したい」と関係者を労った。

 恒例の山車審査では、「八戸総鎮守」とされるおがみ神社の祭神「法霊(ほうりょう)大明神」をテーマに山車を制作した内丸親睦会が、21年ぶりに最優秀賞に返り咲いた。メンバーの吉田由紀子さんは「ここまで長かった。今年は子ども・若手制作メンバーも多く、みんながよく頑張り、それが実になって良かった」と声を詰まらせた。同山車組はおがみ神社の「お膝元」。法霊大明神は祭り発祥300周年に合わせ2021年に制作する予定だったが、コロナ禍で祭りが規模を縮小し、制作は中止されていた。制作責任者の下村隼人さんは、コロナ禍で山車組の枠を越えて制作した「共同山車」を念頭に、「ほかの山車組とコミュニケーションを取ったり、アドバイスを聞いたりして、みんなで協力して今年の祭りが成功できたと思う」と振り返る。

 「コロナで通常開催できなかった3年間、この祭りはフェスティバルでなく神事だということを認識する機会にもなった」と八戸三社大祭運営員会の塚原隆市会長。今年の記録的な暑さ、深刻な担い手不足などの課題に触れ、「今後、十分に議論し、市民が求める八戸三社大祭にしていきたい」と力を込める。「今年は市民力を感じた。市民のコミュニティーのパワーを失いたくない。八戸市を盛り上げるために関わった関係者に、ただただ感謝」とも。

 はちのへ山車振興会の宮古角洋(かくひろ)副会長は「祭りは市民の心のよりどころ。多くの観光客・市民が待ち望んでいたと実感した」と話し、「エネルギーを爆発させて山車を引く子どもたちの姿を見ると、祭りの未来は明るいと感じた」と今年の祭りを振り返る。

 南部さんは「祭りは豊作、健康で幸せに暮らしていけるようにとの祈り。今後もその祈りを込めて行うことが大切」と話す。

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